煙石博さん冤罪事件!あの証拠で一、二審が有罪になるの?

      2018/05/21

 

 
2018年5月9日(水)放送のTBS『1番だけが知っている』で、99.9%逆転不可能と思われたある冤罪事件が紹介されました。

 

『99.9』といえば、嵐の松本潤さんが主演を務め高視聴率をマークしたTBS日曜劇場『99.9-刑事専門弁護士-』が思い浮かびますが、このドラマのタイトル『99.9』は、日本の刑事事件における裁判有罪率(起訴された際に裁判で有罪になる確率)を示しています。

一旦起訴されると、ほぼ有罪が確定
刑事事件を専門に扱う弁護士の数も極端に少ないため、丁寧に検証することは極めて困難になるんだとか!

そんな『99.9』の意味ですが、このドラマで知ったという方も多いのではないでしょうか。

 

ドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』では、個性的な刑事専門弁護士たちが、たとえ99・9%有罪が確定している逆転不可能と思われる刑事事件でも、残り0.1%まで諦めず事実を追い求めていく姿が描かれていました。

 

ある日突然、冤罪事件に巻き込まれ、必死に無罪を訴えているのにわかってもらえない…
無罪を勝ち取るまでに、たくさんのものを失う…

ドラマの話ならいいですが、今回『1番だけが知っている』で紹介される事件は、リアル『99.9』。
元RCCアナウンサー煙石博さんが巻き込まれた逆転不可能な冤罪事件です。
 


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煙石博さんとは
 

 
RCC中国放送(広島市)の元アナウンサー。
長年、ラジオ番組のパーソナリティなどを務め広島の人々に親しまれてきましたが2007年3月に中国放送を退職されています。

【生年月日】
1946年11月2日(71歳)

【出身地】
広島市

【出身校】
広島商科大学短期大学部
 

 

 

今回『1番だけが知っている』に日本テレビ系『行列のできる法律相談所』で人気の北村晴男弁護士が出演。
北村弁護士が魂震えたという逆転裁判が煙石さんが最高裁で無罪を勝ち取った冤罪事件です。

ここからは、煙石さんが巻き込まれた冤罪事件と、99.9%逆転不可能な壁に挑んだ弁護士について調べてみました。
 


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煙石博さん冤罪事件
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元RCC(中国放送)アナウンサー煙石博さん(当時65歳)が身に覚えのない窃盗容疑で逮捕されたのは2012年10月11日。

自宅を訪ねてきた刑事に任意同行を求められた煙石さんは、銀行で他の客が置き忘れた封筒から現金6万6600円を抜き取った容疑で逮捕されました。

 


【事件概要】

事件が起きたのは2012年9月24日午前9時20分ごろ
広島市南区にある銀行支店で会社員の女性が記帳台に置き忘れた封筒から現金6万6600円が盗まれたと警察に被害を訴えました。

被害を訴えた女性は、母親が営む不動産会社で経理を担当。
事件当日は会社の固定資産税や従業員の市県民税の支払いのため、この銀行に来店していました。

女性は固定資産税の支払いを済ませましたが市県民税の支払いを忘れ、
そのために持参した現金6万6600円が入っていた封筒を記帳台に置き忘れ退店したといいます。

その後、まもなくして男性警備員が記帳台に女性が置き忘れた封筒をみつけ窓口の女性行員に手渡しました。

しかし、この時封筒には市県民税の振り込み用紙が入っていただけで現金は入っていませんでした。

銀行から連絡を受けた女性が警察に被害を訴え店内の防犯カメラを調べたところ
女性が記帳台を離れてから警備員が封筒を見つけるまでの時間が約16分であることが判明

その間、記帳台付近を映した防犯ビデオに映っていたのが煙石さんだけだったのです。
 


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一、二審で有罪判決
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煙石さんが逮捕された理由を簡単におさらいしてみましょう。

 
被害者とされる女性が
現金の入った封筒を置き忘れる

 

この間に何者かが盗んだ?

 
男性警備員が封筒を手に取る
 

 
警備員が女性行員に封筒を手渡す
(この時にはお金が入っていなかった)


 
※ 記帳台に近づいたのが煙石さんだけ
(だから、
犯人に違いない!と
決めつけられた?)

 

 

煙石さんは逮捕時から一貫して容疑を否認、無実を訴えるも2012年11月1日に起訴されてしまいます。

 

その後、煙石さんに下されたのは一審、二審ともに有罪判決でした。

この事件の裁判での主な争点は2つ

そもそも女性が置き忘れた封筒には、本当に現金が入っていたのか。

煙石さんは封筒に触ったのか。

 

弁護側は「そもそも封筒に現金が入っていなかった可能性があり、犯行を示す客観的証拠もない」と無罪を主張。

一方、検察側は「前日に封筒に現金を入れた」とする女性の母の証言は信用性が高く、煙石さん以外に「現金を窃取できた者はいない」としていました。

結局、一審、二審では被害者だという女性の証言を信用し封筒に現金が入っていたと認定され、状況から煙石さんが犯人だとして広島地裁は懲役1年、執行猶予3年を言い渡しています。
 


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有罪の証拠
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ここまで事件を振り返ってみて気になったのが有罪の証拠とされた防犯カメラの映像

この防犯カメラの映像には、煙石さんが記帳台に近づいて何かを手にした場面が映っており、この映像が煙石さんが封筒を盗んだという有罪の証拠にされ、盗んだ現金はシャツのポケットに隠したんだろうと警察は考えていました。
 
しかし、法廷のモニターで公開された映像は不鮮明で人物の行動の詳細が確認できるものではなかったといいます。
そのため煙石さんが手にしている物は判別不能で封筒に触れたかどうかもわからない状況。
 
記帳台に近づいた煙石さんが何を手にしていたのかというのが気になりますが、煙石さんは公判で「書き損じた払い戻し用紙」を手にした場面ではないかと説明しています。
 
その記憶は曖昧だそうですが、書き損じの用紙なんて無意識に手にしているもの。
 
記憶に残ってなくても別におかしくはありません。
 
それよりも重要なのは、防犯カメラに煙石さんが現金を抜き出すシーンは映っておらず、封筒から煙石さんの指紋は検出されていないということ。
 

さらに、警察が押収したシャツにはポケットがありましたが、煙石さんが着ていたと主張するシャツにはポケットはなく、煙石さんとしてはこれで自分の無実が晴れると思っていました。
 
 

また、二審では、弁護側が民間の鑑定会社『法科学鑑定研究所』に防犯カメラの映像解析を依頼。
 
防犯カメラの映像から被害者とされた女性客の手指の動きと、煙石さんの手指の動きを解析した結果、煙石さんが”何か”を手にした際、記帳台上で手を動かした範囲は封筒を置き忘れた女性と封筒を見つけた警備員が手を動かした範囲とは重なっていなかったといいます

 

しかし、
裁判では煙石さんが何かを手にした場面封筒を盗んだ場面とされ二審も有罪判決が下されました。
 
記帳台付近を映した防犯ビデオに映っていたのが煙石さんだけだったという理由で一、二審とも有罪判決が下される…
そんなことがあっていいのでしょうか。
 
 

裁判官は防犯カメラの死角に入った時に金を抜き取りポケットなどに隠す機会と時間は十分にあるとして有罪判決を下しています。
 
 
死角に入り指紋をつけずに封筒からお金を抜き取り、わざわざ封筒を記帳台に戻す?
そもそも銀行に防犯カメラがあるのは常識なわけで、こんな犯行を犯すとは考えにくいのでは?
煙石さんが記帳台に封筒を戻した映像はあったのか?…など
素人目に見ても「こんなのが本当に有罪の証拠になるのか?」とツッコミたくなる点が多いこの事件。
 

やってないことを証明することは、こんなにも難しいことなのでしょうか。
 
 
しかし、煙石さんの弁護人は裁判官の言う”防犯カメラの死角に入った時”に着目。
 
防犯カメラの映像を1秒毎の静止画にして、600何十枚もの映像を写真化。
死角に入る時間がどれくらいあるのかを全部検討していったのです。
 
弁護側が映像を解析した結果によれば、煙石さんが防犯カメラの死角に入った時間はわずか1秒
 
そして、煙石さんと同じくらいの年齢の人で検証した結果、金を抜き取りポケットなどに隠す時間は最低でも6秒かかることが判明。
ちなみにマジシャンでも2秒かかったそうです。
 


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逆転無罪判決
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逮捕時から一貫して無罪を訴えていた煙石さん。
 


 
支援組織を作って街頭活動を行い必死に煙石さんの無実を訴えていた友人たちのおかげで多くの署名も集まったといいます。
 
 
逮捕から約4年5カ月を経て開かれた最高裁。
 
鬼丸かおる裁判長は「一、二審には重大な事実誤認がある」として広島高裁判決を破棄。
 
煙石さんの犯行事実は認めず、封筒には現金が入っていない可能性を認め、

煙石さんは最高裁で逆転無罪を勝ち取ったのです。

 

 
 

無罪判決後の会見で、煙石さんは「最高裁で正義と真実に基づいた、公正で良識ある判断をいただいた」と挨拶。
事件について「お金を盗っていないのに、突然とんでもない火の粉をあびて苦しめられ、人生を失ってしまった」と振り返っていました。

また、「お世話になった多くの皆さま方にお礼を申し上げたい。私一人では、随分前に(心が)折れていたと思います」と感謝の言葉を述べられていました。

 
 

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久保豊年 弁護士
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ところで、最高裁では毎年2000件前後の刑事事件の判決が出ているそうですが、逆転無罪判決は1年に1、2件だといいます。
 

 
また、最高裁では通常、憲法違反の有無など法律問題だけを審理するといい、一、二審で有罪とされた被告人が最高裁で無罪を言い渡された例は少ないそうです。
 
今回『1番だけが知っている』に出演する北村晴男弁護士が魂震えたという この逆転裁判ですが、最高裁で無罪を勝ち取った煙石さんの弁護人は久保豊年弁護士です
 
 

 
久保豊年弁護士は逆転無罪の判決後、
「私が29年で扱った中に絶対無実と思い無罪にならなかった事件は数十件ある。大半の人は一審で諦めたり二審で疲れ切り精神的にも経済的にも最高裁まで持たなかった。今回の無罪は嬉しいが司法にかかわる一員として煙石さんに申し訳ない気持ちでいっぱいだった」と複雑な感情を明かしていました。
 

久保豊年 弁護士
(くぼ ほうねん)

【生年月日】
昭和34年1月3日

【出身校】
広島城北高校
明治学院大学法学部法律学科

【所属】
上八丁堀法律事務所


久保弁護士がこれまで取り扱った刑事事件がコチラ。

福山独居老人強盗殺人事件
広島女児殺害事件
東広島ウイークリーマンション殺人事件
マツダ工場暴走事件
…など

 

 
 

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さいごに
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私、広島出身なもので免許を取りたての頃、車の中で煙石さんのラジオ『なんでもジョッキー』を何度か聞いたことがあるんですよね。

煙石さんの名前と声を知っていたので逮捕されたというニュースを知り驚いたことを覚えています。

しかし、無罪を勝ち取った最高裁までは時間が経ちすぎていて、無罪を勝ち取るまではこの事件のことは忘れていました。

無罪を勝ち取った後で煙石さんのドキュメンタリー番組を見たことがありますが、事件の詳細について今回調べてみて初めて知ったことも多かったです。
 
無罪判決後の会見で煙石さんが「みなさんの支援もあり3年間がんばってこれました。私に起こったことは他の人にも起こりうることです。こういうことは絶対にあってはならない。少しでもいい方向に行くことを祈っています」と語っていましたが、このような冤罪事件について、いつも思うのが逮捕されたことは大きく報道されるが、実は無罪だったということはあまり報道されないということ。

煙石さんは長年RCCアナウンサーとして広島で活躍されてきた方ですが、事件が大きく報道されたためにその功績は地に落ち、それまで仲が良かった人が離れていってしまった…という辛い経験もされたのでしょう。
 
今回『1番だけが知っている』で紹介される煙石さんの冤罪事件。
改めて煙石さんが無実だったことが多くの人に知ってもらえる良い機会だなと思います。
 

 


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